『バスケットボール戦術学2』刊行記念座談会

プロの第一線でやらないと

バスケに関わる職業には

就けないというわけではない

宮本 森コーチもそうですし、片岡さんもそうですけど、この本に関わった方々にトップレベルでプレーをされた方がいない。インカレで優勝するチームとか、実業団のトップとか。そういう方々がこういう本を出されたというのがまた新しい価値なんじゃないかなと思うんです。いろんな経験をされた方が日本をトップのレベルに押し上げようとして書いた本だということを考えていくと、この本を読んだ子ども達やプレーヤーが様々な形でバスケットボールに関わっていけるという可能性を示した一冊でもあるんじゃないかなという風に感じていて、そういう意味では日本のバスケットボールのレベルが向上していくためのきっかけのひとつになるんじゃないかなと僕はすごく感じたんですよね。

 

森 そういう風にいっていただけるとうれしいですよね。ただ前田さんは全中で優勝されてますけどね。

 

前田 いやいや当時の中学校なんてバスケになっていなかったから。

 

森 子ども達に、プロの第一線でやらないとバスケに関わる職業には就けないというわけではないという、例になれればすごくうれしいなと思います。

 

小谷 正直なところ僕は日本のバスケのレベルを押し上げるというようなところまで頭がいっていないんですよね。バスケについて話しをして、知識を増やすということがすごく楽しくて、それが本を作るモチベーションになっている。だから日本のバスケのレベルを押し上げるとか言われると心苦しいというか、申し訳ないというか…

 

宮本 ただピラミッドの底辺が広がると、最終的にトップも高くなるわけで、僕がこの本とか皆さんのお話しを聞いていて感じるのは自分の知識とか経験を広げていくことを、いろいろな形で還元していくことによって、必ず底辺でそれを拾ってくれる誰かがいるというのが今の日本のバスケットボール界なのかなと感じていて、だからこそそれを学び得た人たち、僕自身もそうですけども、小谷さん、前田さんの講習会に参加して話しを聞いて、それをもっと他の人たちにも伝えようとか、もう一回自分も学びなおしてみようと思った一人でもあるので、この本には書かれた4名の知識も思いも詰まっていて、さらに考えが絡みあって新しいものが生まれたりもしていると思うので、是非、手にとってほしいなというのが本当に正直な気持ちですね。

 

ズボン 見る目を養うという話しが先ほど出てきましたけど、この本を読むことによって、自分が応援しているチームだとか、選手だとかが、こういうプレーをしているんだということを知る機会が、普通にバスケを見ているだけでは、絶対にないんですね。だからこういう書籍を通じて、見る目を養うことがバスケの底上げにはなっているのは間違いないと思うので、小谷先生が楽しくやってらっしゃるのは、僕は何よりもうれしいなと思いながら聞いていたんですけども(笑)

 

小谷 この本を読んで、ディスカッションして楽しんでもらえれば、それだけでもいいなと思うんですよ。

 

ズボン どうしてもファンだと勝った負けたで一喜一憂して終わってしまうと思うんですよ。でもそこから一歩深めて、あの時、チームはこういうプレーをしようと思ったんだなという意図を知ったときに、これができなかったから今回は負けたんだな、じゃあ次にこんなプレーができるんじゃないかなというような議論が日本中で起きることがあれば、絶対に日本バスケは強くなるはずじゃないですか。それを担う役割をこの本はしてくれるんじゃないかなと感じています。

 

小谷 結果的にそういうところにつながっていけば幸いです。とにかく楽しんでもらいたいです。

 

ズボン 楽しむことが新たな発見につながりますからね。

 

片岡 バスケットボールの男女の代表チームが強くなるということはすごく大事なことだと思います。同時に、それだけでは不十分だと感じます。日本バスケットボール協会は「バスケで日本を元気に」という理念を掲げ、様々な取り組みを精力的に行っています。元気といっても意味は広いですけど、仮に、強くならなかったとしても、バスケに関わる人が、バスケを通じて得られる充実感などが増えれば、この本の目的の多くの部分は果たせているのかなと思います。

 

小谷 今、コロナ禍でゲームができないわけですけども、先日、学連の会議がありまして、今年度の昇降格をどうするのかが議題にあがったんです。昇降格がないとモチベーションが上がらないという意見もありましたけど、今はそこじゃなくて、1ゲームでもできれば、それだけで十分、バスケの楽しさは味わえると思うんですよね。何かの目的のためにゲームをするんじゃなくて、ゲームでバスケを楽しむ、そういう流れになっていったらいいなと思うんですよね。

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