『バスケットボール戦術学2』刊行記念座談会
アルバルクの選手たちは
勝っても、負けても
理由がわかっている
前田 アルバルクさんは2連覇しているからかもしれないけど、ブースターの余裕を感じるんですよね(笑)。
宮本 アルバルクのブースターは負けても、負けた要因を理解しているんですよ。
前田 あと去年の優勝の仕方がね。あの順位からトップに行っちゃってるから。負けても余裕を感じるんですよ。
森 やってる方はホント必死ですからね(笑)。
前田 チーム全体の雰囲気としてもそれを感じさせるから、あれはなかなか作り出せないなという感じはある。勝っても、負けても選手が理由をわかっている。なんとなく勝っちゃったとか、わけわかんないまま負けたとかいうことがないんでしょうね。それも試合が終わった直後にみんなわかっているっていうのは、相当、叩き込まれているなというのは感じますね。
森 それも僕らのスタイルの強みではあるんですよね。徹底して同じスタイルを貫き続けるからこそ、ブレた時にわかりやすいんですよね。ひたすら同じスタイルでやり続けるからこそ、ここでやられたというところが明らかなんです。もちろん本当に必要なところはアジャストもしますが。
前田 今シーズン面白かったのは渋谷の試合。どこかで一回、アルバルクのゲームを壊しに行ってほしいなって、ずっと思っていたので。だいたいみんな四つに組んでいくけど、ルカHCには相当、緻密に行かないと勝てないから、あと選手の質もあるじゃないですか。そこを渋谷が壊しに行った。
森 今、思い返すとジョン・パトリックさんのチームとやるとあんな感じになんだろうなと思って(笑)。
前田 あれを機に他のチームもアルバルクに対するプレッシャーがより強くなったよね。ウチもやるぞ見たいな感じでね(笑)。
森 そうなんですよ。
宮本 それもチームの戦術としては表と裏ですよね。どうやったら王者のアルバルクを倒せるのかという。
前田 教科書どうりにやったらアルバルクさんの思う壺ですよ(笑)。こんなこといったら何だけど、今回の本の1、2を見て、書いてあるとおりにアルバルクさんと試合したら、書いてあるとおりにやられてしまうというね(笑)。
宮本 昨シーズンBリーグではそんな流れがあった気がしていて、サイドtoサイドのピック&ロールがブームに火がついた感じで、でもハンドラーを持っていないチームが多かったから、サイドに展開したときのもう一人のハンドラーがそんなにピックが上手くない、もうひとりのスクリーナーのかけかたが上手くないみたいな感じで、それでアルバルクにだったらとれるよ見たいに、ちゃんとやられて、同じようにやっているんだけど大差で負けるみたいな印象がありますけど。
前田 アルバルクさんは相手ディフェンスを意図的に動かしているイメージがありますよね。頑張れば、頑張るほどやられるんだよね。
森 まあまあウチの話しはこのくらいにして(笑)