『バスケットボール戦術学1』刊行記念座談会

攻防の「裏」と「表」を見極め

戦術への理解が

深まることに期待

『バスケットボール戦術学1』の刊行を記念し、執筆、編集協力4氏の座談会を開催。本書の読みどころや実戦での活用法のほか、今回のテーマとなった「オフボールスクリーン」、「1対1」などについて語ってもらった

MEMBER

小谷 究

流通経済大学

バスケットボール部ヘッドコーチ

前田浩行

JBA技術委員会

テクニカルハウス部会長

森 高大

アルバルク東京 

アシスタントコーチ兼

スキルコーチ

片岡秀一

GSL共同編集長

©ALVARK  TOKYO

戦術の基本をわかりやすく

幅広い世代に

読んでもらいたい一冊

小谷 皆さんにはこの度刊行されます『バスケットボール戦術学1』の編集に携わっていただきましたが、この書籍をどんな方に読んでいただきたいですか?

 

前田 内容的にはそんなに難しくはなく、しかも細かく図版や文字で解説しているので、幅広い読者に読んでいただけると思います。

また、思ったのは、この書籍はオフェンスとディフェンスの「裏」と「表」をちゃんと解説していて、こう動いたら、こうやったほうが良いと理解できるのですが、それが絶対の答えでもないと思っています。おそらく、自分が読者として読んだ場合、「違う攻め方も、守り方もある!」と考えると思うんです。ただ、それがすごく良いなと。この書籍を土台に、「あーでもない、こーでもない」といろいろ話が広がったら、この書籍を制作した意義があるかなと思います。

 

小谷 たしかに、その議論ができたらこの書籍の目標は達成できたと思うかもしれないですね。この書籍は、現在のバスケットボールの戦術を解説していますが、数年経ったら「あの時は何をやっていたのだろう?」となるかもしれない。ただ、現時点でこういう戦術があるということを書籍として残せれば意味はあると思うんです。もしかすると、数十年後には「この時代はこういうバスケットボールだった」という歴史的な資料になっているかもしれない。自分の研究では、1930年の指導書が、すごい貴重な資料になっていたりします。この書籍もそういう貴重な資料になってくれたら嬉しいですね。

 

森 私も幅広い層の読書に読んでいただけるとすごく良いと思います。なぜかというと、ともすれば戦術は「裏」と「表」という側面を欠いたまま、「このプレーが良い」というだけの広がり方をすることが結構多い。プレー自体がどうというよりは、その攻防に「裏」と「表」があり、それぞれの対策がある。この書籍でそれを知っていただけるだけで、実際の指導や、プレーの組み立て方にかなり良い影響を与えられるのではないかと思うんです。

 

小谷 そうですよね。試合中の「裏」と「表」の駆け引きは、際限なく続き、結局シンプルなところに戻ってきたりしますよね。

 

前田 さんざん考えた挙句、一番簡単な方法でやられることもよくあります(笑)

 

小谷 それもバスケットボールの面白いところですね(笑)片岡さんは育成の立場ということで、この書籍は育成に関わる指導者や選手に活用可能でしょうか?

 

片岡 非常に有益だと思います。理由は、この書籍を通じて見落とされがちな部分を改めて学ぶことができるからです。現在はハイライト映像や海外のコーチが発信するクリップ動画等で数多くの映像に容易に触れることができます。ですが、いざ人に説明をする際に、全く理解できていない事に気が付くことが自分自身も数多くありました。映像を見ただけで、何となく分かったつもりになってしまっていたんですね。今回の書籍は、一つ一つのプレーの狙いや、駆け引きをする際の優先順位を丁寧に解説しています。それらの一つ一つが、コーチングの質の向上を手助けするはずです。その上で、SNS等の映像を見ると発見も増えるのではないかと思います。

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