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レバンガ北海道ヘッドコーチ

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まずはマインドを変える

――佐古さんは7月までU19日本代表のヘッドコーチを務められていました。そして今季からレバンガ北海道のヘッドコーチに就任したわけですが、育成年代とプロチームで指導に違いはありますか?

佐古 基本は一緒です。取り組むべきことは必ずプロの選手にもあるので、レベルの違いだけだと思います。ただ、私は育成年代のヘッドコーチを長くやってきたので、選手をとにかく成長させることを第一に考えてきましたが、プロのチームになるとそれをいかに勝利数につなげられるかになってくる。となると、チームビルディングが非常に大事です。

――レバンガではどのようなチームづくりを?

佐古 自分のスタイルである、しっかり戦い抜いてチャレンジし続ける、攻めのチームを目指します。それはオフェンスだけではなく、気持ちで攻めていくチーム。そういうものをイメージしてチームづくりに取り組んでいきたいと思っています。戦術や戦略を落とし込むことも大事ですが、まずはマインドを変えたいんです。B.LEAGUE創設以降、レバンガ北海道が結果を残せたシーズンはありません。そう考えると、まずはそこに取り組まないと来年も同じ結果になると思います。

――折茂(武彦)代表ともそういった話はされているのですか?

佐古 最初にオファーをもらったときに、代表のほうからそういう話がありました。「長い間チームがいい状態ではなく、それがレバンガのチームカラーになってしまうと未来はないので、ここで改革したい」と。私もそこに取り組みながらシーズンを戦いたいと伝えてあります。

――今回のバスケットボール・プラネットVol.2では「競争心」をテーマにしていますが、マインドを変えるというのは「競争心」にも関わることでしょうか?

佐古 チーム内の競争だとか、そういうことは起こさないといけません。ただ、シェアバスケットでエネジーを残さないような、アクティブなチームをつくりたいと思っているので、そういう意味では選手全員が戦力でなくてはいけないという考え方です。

――佐古さんはU19ワールドカップでコンタクトスキルの重要性を痛感したとおっしゃっていましたが(詳細は書籍に掲載)、B.LEAGUEのコンタクトスキルについてはどうお考えでしょうか?

佐古 私が現役だった頃と比べると、今のB.LEAGUEはコンタクトスキルがすごく上がっていると思います。大きく変わったところはプレータイムのシェア化ですね。これはどのチームも取り組んでいて、一人の選手が30分以上プレーすることがなくなってきている。外国人選手や特別な選手は別だと思いますが、大体20分から25分のプレータイムになっています。そうなってくると、エネジーを残すことを考えなくていいんです。

――短い時間に全力を出しきれるので、激しいコンタクトが可能になったと。

佐古 そうです。そのことによって、いろいろなことにチャレンジできると思うんですね。エースとして35分、40分出ないといけない選手だったら、ファウルの計算とか、いろいろなことを考える必要がありましたが、20分でいいのであれば、その20分でうまくファウルも使っていけます。ディフェンダーのプレッシャーに関しても、ファウルを怖がらなくなってきているので、その中で自然とコンタクト技術を覚えてきているのだと思います。そういう環境下で練習にも取り組んでいるから、それがスタンダードになっている。そういうことを踏まえて、コンタクト技術もそうですし、プレッシャーのかけ方に関してもスキルとしてはすごく上がっているんじゃないかなと思います。

――バスケットボール・プラネットVol.2では、現代バスケットでは欠かせないペイントアタックも一つのテーマにしています。レバンガ北海道ではペイントアタックをどのように活用しようと考えていますか?

佐古 ペイントアタックと言っても、ドリブルでアタックするだけではなく、ピックアンドロールからのポケットパスだとか、ディープのシールだとか、バリエーションはいろいろあります。逆に言うと、ペイントを中心に攻めていくから、次はスペーシングがすごく大事になってくる。そこを攻めてからのスペーシングで、さらにまたペイントアタックとか、そういうことが戦術に組み込まれると思います。

 今のバスケットではそれが主流になってきているので、個の能力でペイントアタックに行けるスラッシャーの選手は重宝されますよね。一方で、行けるのか行けないのか、というところでやめてしまう選手も多い気がします。そういう中途半端なアングルになってくると、パスを逃がしたとしても次の人間にスペースがない。そういう悪循環なバスケットになってしまいます。なので、我々が取り組むべきことは戦術、戦略の中でペイントアタックをメインに考え、またハーフコートオフェンスだけではなく、ファストブレイク、アーリーオフェンスでも、すべてにおいてそれが中心になると思います。

――最後に、今シーズンの目標を聞かせてください。

佐古 順位の目標は立てなくてもいいと思っています。というのは、目標を立てると達成することに意味を持たせてしまうので。そうじゃなくて、今取り組んでいることに意味を持たせたいんです。優勝したい、勝ちたいと言うのは簡単ですよ。でも、それは言わなくてもみんなが根底に持っているものです。だから自分としては、プロセスを大事にしたい。そして今年より来年、来年より再来年のほうが大事にならなきゃいけない。チームを変えていくのは難しいことかもしれませんが、希望はあります。

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Basketball Planet VOL.2

競争心を育む。

ーペイント内での高い決定力を目指してー

 

バスケットボール・プラネット  (著, 編集)

2021年9月4日発売

佐古賢一 さこ けんいち

1970年生まれ、神奈川県出身。中央大学在学中に日本代表に初選出され、大学卒業後の1993年にいすゞ自動車へ入社。2011年にアイシンシーホース(現・シーホース三河)で引退するまで、リーグMVPを3回受賞するなど輝かしいキャリアを残し、「ミスター・バスケットボール」と呼ばれた。2013年に広島ドラゴンフライズの初代ヘッドコーチに就任。2016年から男子日本代表アシスタントコーチを務め、アンダーカテゴリーの代表チームも指導。2021年4月に日本人では2人目となるFIBA殿堂入りを果たし、2021-22シーズンからレバンガ北海道のヘッドコーチを務める。